深読み、Radiohead通信|歌詞和訳と曲の解釈

Radioheadの歌詞を和訳してます。トムの心境やバンドのエピソードも交えながら「こう聴くとめちゃ深くなるよ」といった独自解釈を添えてます。

【Radiohead入門】最初に聴くべきオススメ7曲と、全アルバム100曲解説(最新作まで)

レディオヘッドってたまに名前聞くけど、代表作はよく知らない」

音楽好きな方でも、みんなきっとそんな感じですよね。

Radioheadレディオヘッド)は2019年現在においても、“世界一クリエティブなバンド” とまで言われていますが、日本で知名度がそこまで高くないのは、彼らの楽曲の良さが理解しにくいからに他なりません。

問題は「オススメ曲」にあります。人気曲と思って、ほぼ全員が『Creep』から聴き始めるんですよね。そしてある人は「ギターのガガッってのがカッコいい!」と言い、ある人は「よくあるロックバンドじゃん、つまんね」って言うんです。 

あえて言わせてください。

それレディオヘッドじゃないですから!

『Creep』ってデビュー曲のスマッシュヒットに過ぎないんです。本人たちも全く気に入っていなかったにも関わらず、曲があまりにもキャッチャーなため、最初に聴くべき曲として世間に広まってしまってるんです。これって、ビートルズが『ラブ・ミー・ドゥ』のバンドと言われているようなものですよね。 

ただレディオヘッドが理解されにくいのは、彼ら自身のせいでもあります。フロントマンであるトム・ヨークの内省的な性格のせいもあり、アルバムごとに音楽性がガラッと変わるのです。だからその背景を知らずに無邪気に聴くと、必ず悲しい思いをするのです。 

私の周りでも、

Creep良かったから他の曲聴いてみたけど、ボソボソ歌っててよくわかんない

みたいな声もよく聞きます。なんてもったいない!

そもそもレディオヘッドはアルバムという単位に人一倍こだわりが強いバンドです。iTunesでシャッフル再生するのには向いていないんです。 

 

じゃあ一体どの曲から聞けば良いのか!?

そんな方に向けて、1作目から9作目(2019年現在:最新作)まで、全オリジナルアルバムの解説と、収録全曲にひとことレビューをつけました!オススメの曲には高い評価をつけています。人気曲はもちろん、隠れた名曲にも出会えるはずです!

 

まずは「★4」の7曲だけ聞いてみましょう!アルバムの解説も合わせて読むと理解が深まると思います!

(「★3」も100曲中26曲に絞り込んだので、あわせて33曲は必聴です!)

 

 

<評価基準(0〜4の5段階)>
ーーーーーーーーー
-:普通の良い曲
★:一度は聴く価値がある曲
★★: 間違いなく名曲
★★★: 音楽史上最も優れた曲のひとつ
★★★★: もはや神の奇跡
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【1作目】Pablo Honey(パブロ・ハニー)

レディオヘッド黒歴史。最も有名にして、最大の厄作『Creep』を収録している。はっきり言って、プロデューサーとバンドが噛み合っておらず、何がしたいのか全くわからないアルバム

(のちにバンドは次作「The Bends」を本当のデビューアルバムだと言い張り、この作品をなかったことにしている)

<アルバム合計・・・★6> 

曲名 評価
1.You
変拍子ギターリフが癖になるオープニングチューン
2.Creep
極めてオーソドックスなコード進行のラブソング。サビ前のディストーションギターが印象的。
★★
3.How Do You?
日曜の朝に庭で水浴びをしてるみたいな曲
-
4.Stop Whispering
シンプル・イズ・ベストなポップソング。やっぱり最後は叫ぶ
5.Thinking About You
夜中に書いたラブレター
-
6.Anyone Can Play Guitar
若いバンドが苛立ちに任せて演奏したようなギターポップ(実際そう)
7.Ripcord
アルバムを埋めるためだけの曲
-
8.Vegetable
アルバムを埋めるためだけの曲2
-
9.Prove Yourself
アルバムを埋めるためだけの曲3
-
10.I Can't
アルバムを埋めるためだけの曲4
-
11.Lurgee
アルバムを埋めるためだけの曲5
-
12.Blow Out
アングラ感が漂うギターソング。浮遊感を出そうと奮闘するメンバーの努力が見える。後半のトムは歌うことすら面倒になった模様

 

  

 

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【2作目】The Bends(ザ・ベンズ

音楽的にはまだ一般的なギターバンドの域にある作品。

『Creep』のスマッシュヒットのせいで、彼らは望まない世界ツアーを延々と繰り返させられ、疲弊しきっていた。そんな中、前作でやりたいことが全くできなかった反省を糧に、彼らは見事なギターポップアルバムを完成させた。本当の意味でのデビューアルバム。

<アルバム合計・・・★20> 

曲名 評価
1.Planet Telex
浮遊感に包まれるエフェクトたっぷりのギターソング。Radioheadの本当の始まりを告げるオープニング曲
★★★
2.The Bends
周りの全てに怒りをぶちまけるようなロックソング。複雑な展開は何度聞いても新鮮
★★
3.High and Dry
良質なアコースティック・ポップソング
★★
4.Fake Plastic Trees
至極のアコースティック・ラブソング。後半の盛り上がりは展開・歌詞ともにCreepの「美しさ」を昇華しつつも、遥かに高い視座でまとめられている
★★★★
5.Bones
3本のギターが淡々と役割を演じるポップソング
-
6.(Nice Dream)
優しいメロディが包み込むアコースティックソング。終盤に爆発し、また戻ってくる
-
7.Just
数えきれないほどのコードが詰め込まれたギターロック。アウトロのジョニーの狂ったソロは必聴
★★★
8.My Iron Lung
オープニングのリフが印象的な、一見穏やかなポップソングだが、その実はCreepの「ダーティさ」を昇華したロックソング。
★★★★
9.Bullet Proof..I Wish I Was
優しいメロディが包み込むアコースティックソング。こちらは最後まで壊れない
-
10.Black Star
ナイーブな青年のラブソング。特に語ることはない。
-
11.Sulk
頑張って展開を作りました、というのが透けて見えるギターソング。Ok Computerと比べると見劣りする音作り。
-
12.Street Spirit (Fade Out)
アコースティックギターアルペジオが美しい1曲。こんな悲しみに満ちた曲がシングルカットされるのはレディオヘッドくらいだろう。
★★

 

 

 

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【3作目】Ok Computer(OK コンピューター)

20世紀のギターロックを完成させたとまで言われる名盤。 

前作『The Bends』のヒットを受け、レディオヘッドは内容・期間ともに、自由にアルバムを制作してよいことになった。レーベルのこの判断は、レディオヘッドは才能を一気に開花させることとなる。

また、新たなプロデューサー(ナイジェル・ゴッドリッチ)を迎えたことも大きかった。彼の参加により、表現できる音の幅が飛躍的に広がったのだ。そこにはピアノやストリングスなどの楽器だけでなく、様々なエフェクターやミキシング技術も含まれる。(ナイジェルはその後の全作品でプロデューサーを務め、いまでは6人目のレディオヘッドと言われている)

ギターという楽器の限界を確かめるように、彼らは頭の中をそのまま音として表現すべく、ありとあらゆるアプローチを使った。そうして完成したのが『OK Computer』だった。

 

<アルバム合計・・・★23>

曲名 評価
1.Airbag
まるで神話のように全ての楽器が絡み合う名曲。ギターでこれほどの広がりを作れるのかと驚かされる。
★★★
2.Paranoid Android
Radiohead史上最高と評されるロックソング。二転三転する展開はまさにボヘミアンラプソディそのもの
★★★★
3.Subterranean Homesick Alien
穏やかな田園風景を思わせる作品
-
4.Exit Music (For a Film)
アコースティックギターとオルガンが奏でる悲劇。後半のディストーションベースが印象的。
★★
5.Let Down
クリーンな3本のギターアルペジオが絡み合うポップソング。明るい曲調と救いのない歌詞の対比は、これぞレディオヘッド
★★★
6.Karma Police
イギリスの伝統を受け継いだようなピアノメロディが印象的。ラストの悲痛な叫びは聴く者の胸に突き刺さる。
★★
7.Fitter Happier
Macの合成音声が無機質に語る曲。ジョージ・オーウェル1984の世界。
-
8.Electioneering
怒りをぶちまけるためだけに作られたような曲。良くも悪くもメチャクチャ。
-
9.Climbing Up the Walls
深い穴の奥底から這い上がるように、じわじわと終焉に向かって展開していく。ストリングスとディストーションギターが全てを飲み込む。
★★★
10.No Surprises
シンプルなリフにシンプルなコード。あまりに完成されているため、半世紀前から存在していたかのような錯覚に陥る。一方で救いのない歌詞が曲に深みを持たせることに成功している。
★★★
11.Lucky
Ok Computerでは珍しい「まとも」なギターソング。まるで現実から目を背けたがっているように、泣き叫ぶジョニーのギターリフが印象的。
12.The Tourist
Ok Computerを締めくくるにふさわしい、現代社会への警鐘。サビの「Hey man, slow down...」と繰り返される叫びは涙なしに聴くことはできない。
★★

 

  

 

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【4作目】Kid A(キッド・エー)

ロックの歴史を変えた名作

前作同様、自由な制作期間を与えられたものの、『Ok Compuer』においてギターロックで出来ることをやりきってしまった彼らは、もはや進むべき道を失っていた

行くあてのない制作期間の中で、彼らは既成概念からの脱却を図った。ギターを使う必要はない。4拍子に従う必要はない。そうしてメンバーは、ギタリストやベーシストであることをやめ、楽器の垣根を超えた音づくりに取り組み始めた。

もともと全員が卓越したプレイヤーであった彼らは、ピアノ、オンド・マルトノ(電子楽器)、サックス、バイオリン、エレクトーン、そしてコンピューター・・など、ありとあらゆる楽器をバンドに持ち込み、見事にロック音楽として融合させた

『Kid A』はよく「エレクトロニカに傾倒したアルバム」と評されるが、それは正しくない。前作までのギターロックとの差が大きすぎてその点が際立ってしまいがちだが、前述の通り「いろんな楽器と電子加工を取り入れた」くらいの方が表現としては適切だ。バンドにとってはごく自然な「進歩」だったのだから。

 

<アルバム合計・・・★24>

曲名 評価
1.Everything in Its Right Place
電子ピアノのリフに乗るのは、コンピューター加工されたトムの声。この曲の誕生により、ギター・ベース・ドラムがなくてもロックソングが作れることが証明された。
★★★
2.Kid A
心地よい電子音が聴く者を抱き寄せ、包み込んでくれる。実験音楽でありながら王道。
★★★
3.The National Anthem
不穏なベースラインが周囲の全てを巻き込みながら進行していく。中盤から加わるブラスバンドがまるで交通渋滞のように折り重なり、不協和音がピークを迎えたところで曲が終わる。
★★★★
4.How to Disappear Completely
アコースティックギターと電子楽器(オンド・マルトノ)による抒情詩。不安定な感情が不協和音として表現される終盤は見事としか言いようがない。これほど透明感のある楽曲を、私は知らない。
★★★★
5.Treefingers
電子音とエフェクターで構成されたインスト曲。もはやどのように音が作られたかは謎。
-
6.Optimistic
規則的なタムが印象的なギターロック。この曲に触発されて反グローバル企業活動に参加したイギリス青年たちが後を絶たなかった。
★★
7.In Limbo
変拍子ギターソング。不安を誘うアルペジオが印象的。
-
8.Idioteque
攻撃的なドラムマシーンにシンセサイザーのリフが繰り返される。ダダイズムからの影響による支離滅裂な歌詞が特徴的。意外なことにKid Aでテクノソングと言えるのはこの曲だけだ。
★★★
9.Morning Bell
穏やかな電子ピアノから始まるが、次第に外観が崩壊していく作品。一瞬だけ顔を覗かせた美しさは、まるで巧みな進化を遂げた食肉植物のようだ。絶望が口を開いて待ち構え、聴く者を闇の奥底へと引きずり込む、あとには無だけが残される。
★★★
10.Motion Picture Soundtrack
オルガンの旋律がただひたすらに美しい作品。「I will see you in the next life(来世で会おう)」という歌詞はニヒリズムの究極系。
★★

 

 

 

 

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【5作目】Amnesiac(アムニージアック)

前作の制作期間に作られた楽曲のうち、『Kid A』に収録されなかったものを集めた作品。ただし残り物と侮るなかれ。『Kid A』は表題曲「Kid A」に合う曲だけを集めたコンセプトアルバムだったため、どれだけ優れていても、コンセプトが異なる曲は収録されなかったのだ(どの曲を収録するかでバンドは解散の危機を迎えたほど)。

そのため『Kid A』に比べ、コンセプトアルバム感は薄くなっており、脱ロックのための様々なアプローチを堪能できるアルバムとなっている。

 

<アルバム合計・・・★17>

曲名 評価
1.Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box
電子音とつぶやくような歌声。感情を押し殺すように、全ての音がエフェクターにより熱量を削ぎ取られている。だがそれが不思議と心地良い。
2.Pyramid Song
不安定なコード進行によるピアノとストリングス、そしてトムの歌声が奇跡的に絡み合う名曲。もはや神話の世界。
★★★
3.Pulk/Pull Revolving Doors
サンプリング音源をつなぎ合わせた楽曲。もはや曲なのかすら怪しい。
-
4.You and Whose Army
静かなアコースティックギターによる曲。終盤、ピアノが加わると曲調が一変する。まるで突然戦争が始まったかのように。隠れた名作。
★★★
5.I Might Be Wrong
これをギターロックと言っていいのだろうか。どの楽器も、リズムを刻むことだけを目的として呼応し合う。絶妙なアンバランス。
★★
6.Knives Out
標準的なロックの構成。楽器も展開もこれといった特徴はない。なのに、何故こんなにも悲しいのだろう?
7.Morning Bell
Kid Aに収録された同名曲の別アレンジ。攻撃的な印象は薄れ、幸福に包まれているようにすら思える。だが靄の中で正常な判断力を失った白痴のように皮肉めいている。
-
8.Dollars and Cents
スピード感を持ったベースラインとドラムが曲を牽引する。中盤以降の展開と「Why don't you quiet down?(静かにしてくれないか)」のリフレインが印象的。資本主義への開けっぴろげな批判。隠れた名曲。
★★★
9.Hunting Bears
ギターと単一電子音の物悲しいインスト曲。
-
10.Like Spinning Plates
全編逆再生で構成された楽曲。もはやどのように作られたかは想像すらつかない。
★★
11.Life in a Glasshouse
ピアノとトランペットというジャズの楽器構成。トムの「Only, only, only...(ぼくはただ...)」という叫びとトランペットが絡み合う終盤は、悲痛さの一言。
★★

 

 

 

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【6作目】Hail to the Thief(ヘイル・トゥ・ザ・シーフ)

音楽的プレッシャーから解放された彼らは、前2作の世界ツアーで、電子音楽をライブアレンジし、ギターやエフェクターなど、フィジカルな楽器で演奏できるようになっていた。

そんなロックバンドとして進化を遂げた彼らが、当時の衝動をそのままアルバムに閉じ込めた、いわば前2作とは真逆のプロセスで作り上げた作品である。(1曲に凝りすぎて時間をかけすぎないこと、無闇に長い曲を入れないこと、などの取り決めをしていた)

また、本アルバムの制作年である2002年は、世界情勢が緊迫した時期でもあった。多くのアーティストが反戦を掲げていたように、レディオヘッドも戦争や権力者への嫌悪感をひときわ露わにしていた。そのため『OK Computer』以来意識的に取り込んでいた社会風刺色が、最も色濃く出ている作品ともなっている。

 

<アルバム合計・・・★21>

曲名 評価
1.2 + 2 = 5 (The Lukewarm.)
静かなイントロは、中盤以降、攻撃的なギターとボーカルに塗りつぶされる。Paranoid Androidに並ぶ展開力を持つ風刺ソング。
★★★★
2.Sit down. Stand up. (Snakes & Ladders.)
これまた静かなイントロから一変、中盤から攻撃的なリズムに埋め尽くされる。暗い空を覆い尽くす弾幕から逃げ惑うように。
★★★
3.Sail to the Moon. (Brush the Cobwebs Out of the Sky.)
ピアノバラード。夢の中に誘うような優しさ。
-
4.Backdrifts. (Honeymoon is Over.)
前2作のコンピューティングシステムを平然と使いこなした作品。電子音とドラムマシーンを巧みにポップソングに融合している。
-
5.Go to Sleep. (Little Man Being Erased.)
彼らが卓越したギタープレイヤーだと再認識させてくれる作品。ただ、なぜこの曲がシングルカットされたかは謎。
6.Where I End and You Begin. (The Sky Is Falling In.)
楽器構成としてはKid A / Amnesiacと同一なのだが、明らかにロックだと認識できる音作りは何なのだろう。隠れた名作。
★★
7.We Suck Young Blood. (Your Time Is Up.)
ピアノと最低限なギターのみで構成された楽曲。コーラスと手拍子が印象的。終盤のピアノによる盛り上がりは必聴。
8.The Gloaming. (Softly Open our Mouths in the Cold.)
ジョニーが打ち込んだ電子音のリズムにトムがボーカルをつけた作品。
-
9.There There. (The Boney King of Nowhere.)
ダブルタムのリズムが印象的なギターソング。コードの展開や演奏に際立った部分は少ないにも関わらず、なぜか聴く者の魂を揺さぶる力を持つ名曲。
★★★
10.I Will. (No Man's Land.)
ギターの弾き語り。静かな怒りに満ちた曲。
-
11.A Punchup at a Wedding. (No no no no no no no no.)
ベースラインが印象的なピアノロック。それぞれの楽器が伸びやかに演奏されており、開放感が心地よい。
12.Myxomatosis. (Judge, Jury & Executioner.)
歪んだシンセサイザーのリフが癖になる名曲。トムのボーカルはもはや歌の枠を超え、詩の朗読にすら思える。
★★★
13.Scatterbrain. (As Dead as Leaves.)
シンプルなギターバラード。アルバムに入ったのが不思議なほど平凡な作品。
-
14.A Wolf at the Door. (It Girl. Rag Doll.)
美しい旋律と、それを台無しにするようなトムのボーカルが感動的。Myxomatosis同様、怒りをそのままセリフにして乗せたような楽曲。
★★★

 

 

 

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【7作目】In Rainbows(イン・レインボウズ)

長年いがみ合っていたレーベルとの契約が満了し、本当の意味での自由となったレディオヘッド。彼らは原点に立ち返り、自分たちが満足する作品を作ろうと思い立った。そして完成したのが『In Rainbows』というアルバムだ。

この作品はキャリアの集大成と呼ぶにふさわしく、ストリングスを中心とした多彩な楽器や、新しいロックのありとあらゆるアプローチが用いられている。全ての楽曲が高いレベルで構成されていることから、21世紀の『OK Compuer』とも評される。Radioheadの全アルバムの中でナンバーワンにあげるファンも多い。

 

<アルバム合計・・・★20>

曲名 評価
1.15 Step
5拍子のダンスチューン。ボーカルとリズム隊、電子楽器が見事に融合し、我々に新しい世界を見せてくれる。
★★★
2.Bodysnatchers
疾走感のあるギターロック。トリプルギターがシンプルに入ってくるのはもはや伝統芸。
3.Nude
最低限の音数で表現されるバラード。全ての音が見事なまでに透き通っている。ファルセットとストリングスが織りなすエンディングが印象的。
★★★
4.Weird Fishes/Arpeggi
トリプルギターがアルペジオを奏で、次第に収束していく。海の底を漂うような心地よさ。
★★
5.All I Need
重々しいベースラインに美しい旋律が絡み合う。エンディングに向かうピアノとシンバルは圧巻。
★★★
6.Faust Arp
ミニマル構成のバラード。神秘的なアコースティックギターのメロディが印象的。
-
7.Reckoner
ひたすらにファルセットが美しい楽曲。コードを展開させずにここまで広がりを持たせられる編曲センスには脱帽させられる。
★★
8.House of Cards
標準的なバンド構成で描かれるバラード。5分超えの曲に関わらず長さを感じないのはなぜだろうか。
9.Jigsaw Falling into Place
アコースティックな楽器構成で紡がれるロックソング。後半にエレキギターが加わり、疾走感はピークを迎える。
★★★
10.Videotape
ピアノの弾き語り曲。悲しげな音色と対照的に、強い意思が感じられる作品。
★★

  

 

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【8作目】The King of Limbs(ザ・キング・オブ・リムズ)

In Rainbows』で満足したバンドメンバーは、しばらく各々のソロ活動へといそしむことになる。そして前作のリリースから2年後、再びスタジオに集結した彼らは、それらの経験を音楽的に統合しようと意欲を燃やした。だがその挑戦は見事に失敗している

トム・ヨーク以外のメンバーによる作曲も増えたことも要因だろうか、アレンジにダブや過度なドラムリズムを要求し、メンバーもそれを咀嚼できないまま形にした。結局端々でハーモニーが瓦解しており、何がしたいのかわからないアルバムになってしまっている。

だが彼らはそれで良いと思っていたようだ。今までの徹底的なこだわりの方が異常だったのだ。メンバーそれぞれが自身の活動の場を持ち、広い視野を持てていた。『The Bends』〜『In Rainbows』まで20年間続いた、“Radiohead”というモンスターに対しメンバー5人がNOを突きつけたのだ。

ちなみに後日、全楽曲を他アーティストがリミックスした『TKOL RMX 1 2 3 4 5 6 7』というアルバムが、バンドから正式にリリースされている。もちろんお遊びの側面もあるだろうが、彼ら自身がオリジナルが気に入っていない、もしくは自身で磨き上げる必要性を感じなかった、というのが内情だろう。

 

<アルバム合計・・・★5>

曲名 評価
1.Bloom
全ての楽器が決まったパターンを繰り返すアンビエントソング。
★★
2.Morning Mr Magpie
小刻みなギターが外壁を形取るロック(?)チューン。
-
3.Little By Little
エキゾチックなメロディが印象的なギターソング。
-
4.Feral
不穏な雰囲気のインスト曲。
-
5.Lotus Flower
三点を描くベースラインが印象的。バラードでありながら、ダンスの要素を取り入れた珍しい楽曲。
★★★
6.Codex
シンプルなコード弾きのピアノソング
-
7.Give Up The Ghost
多重録音のコーラスが印象的なアコギ弾き語り。
-
8.Separator
軽快なリズムで描かれるラブソング
-

 

 

 

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【9作目】A Moon Shaped Pool(ア・ムーン・シェイプト・プール)

前作のリリースから、5年のブランクの後に制作された。この時期が30年のバンド生活において、全てのプレッシャーから解放された最も幸せなひとときだったのではないだろうか。

だが不幸はたいていこういう時に訪れる。ライブツアー中に長年バンドを支えたクルーがステージ崩落に巻き込まれて亡くなり、レコーディング中にナイジェルの父親がガンのために逝去、そしてトムも23年間寄り添った妻と離別することとなった(その数ヶ月後、彼女はガンのため亡くなった)。それらの出来事のためだろうか、本作品には「悲しみ」や「厭世感」が色濃く現れることとなった。

音楽的には、ジョニー・グリーンウッドがオーケストラを参加させた(彼は映画音楽作家やオーケストラとしても活動している)ことで、ピアノと弦楽器をフィーチャーするアレンジが増えた。そのため重厚さ・芸術性が際立つ作品に仕上がっている。

こうしてみると、このアルバムは「レディオヘッドという旅」の終着点のように思える。それほどに成熟さを感じさせる作品なのだ。

 

<アルバム合計・・・★18>

曲名 評価
1.Burn The Witch
幾重にも重なるストリングスがリズムとメロディを描き出す名作。アウトロの不協和音は現代社会の痛烈な風刺。
★★★
2.Daydreaming
ピアノによる壮大なアンビエントソング。間奏のアルペジオがただひたすらに美しい。
★★★★
3.Decks Dark
ピアノバラード。不安を誘うコーラスと曲中盤の展開が心地良い。
4.Desert Island Disk
トムのギター演奏が冴えるバラード。
-
5.Ful Stop
不吉なベースラインが周囲を巻き込んで進む。ギターリフが加わり終焉に向かって加速する。
★★★
6.Glass Eyes
アンビエントなピアノメロディが印象的。周囲を取り巻くオーケストラはもはや現代クラシック。
-
7.Identikit
軽快なドラムのリズムは中盤で一転する。秘かな人気曲。
8.The Numbers
アコースティックギターとストリングスの上質な絡みが楽しめる作品
-
9.Present Tense
ボサノヴァのリズムで絡み合うギターがひたすらに美しい。もはやアート。
★★★
10.Tinker Tailor Soldier Sailor Rich Man Poor Man Beggar Man Thief
エレクトーンのリズムが安心感を与えてくれる。中盤以降のオーケストラは本アルバムでも一番の存在感。
-
11.True Love Waits
淡々とピアノの音色が響くラブソング。もはや現代アート
★★★

 

 

さいごに!

さて。いかがだったでしょうか。

こうしてみると、彼らがいかにして音楽のジャンルを飛び越え、幅を広げてきたかが良くわかります。どのアルバムも極めてシンプルな動機で作られてるんですよね。まあ、それを形にできるのは彼らの才能がとんでもないからなのですが。

 

気に入ったら歌の「メッセージ」もみてみよう!

今回はあえて触れずにきましたが、彼らのもう一つの魅力は「メッセージ性」にあります。それは、政治や一般大衆への批判、環境破壊への警鐘、多国籍企業への嫌悪など、ありとあらゆるものに向けられています。

レディオヘッドが “世界一クリエイティブ” と言われる所以は、音楽的に素晴らしいだけではなく、音楽を通して「我々は人としてどうあるべきか」を説く、数少ないアーティストだからなのです!

 

各曲の歌詞和訳や解説も、ぜひ覗いてみてください。よりレディオヘッドの素晴らしさを感じることができますよ!

 

 それではまた!