深読み、Radiohead通信|歌詞和訳と曲の解釈

Radioheadの歌詞を和訳してます。トムの心境やバンドのエピソードも交えながら「こう聴くとめちゃ深くなるよ」といった独自解釈を添えてます。

【歌詞解説】Morning Bell / Radiohead - ソロモン王の判決

トムいわく「本当に攻撃的」という楽曲。『Kid A』の隠れた名曲。ぜひアルバム音源で聞いて欲しい一曲。
Youtubeになかったので...ぜひストリーミングサービスで!)

【日本語訳】

モーニングベル
モーニングベル
こっちじゃないキャンドルを点けてくれよ
自由にさせてくれ
自由にさせてくれ

家具は君にやるよ
何かが頭をぶつけながら
煙突に向かってどなっている
ほっといてくれ
ほっといてくれ
頼むから...
ほっといてくれ
ほっといてくれ

車はどこに停めた?
車はどこに停めた?
服は家具と一緒に草むらに散乱してる
まあそれでもいいか
それでもいいか
眠りのジャックと避難訓練
走り回れ回れ回れ...

子どもを二つに分けろ(※)
子どもを二つに分けろ
子どもを二つに分けろ

何かが歩いている歩いている歩いている歩いて...

 

【歌詞】

Morning bell
Morning bell
Light another candle
Release me
Release me

You can keep the furniture
A bump on the head
Howling down the chimney
Release me
Release me
Please...
Release me
Release me

Where'd you park the car?
Where'd you park the car?
Clothes are on the lawn with the furniture
Now I might as well
I might as well
Sleepy jack the fire drill
Run around around around around around

Cut the kids in half
Cut the kids in half
Cut the kids in half

Da da da da...
( *** get enough *** , everybody wants to be a friend, nobody wants to be a ...)

Walking, walking, walking, walking
Walking, walking, walking, walking
Walking, walking, walking, walking
Walking, walking, walking, walking

 

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【解説】

4作目のアルバム『Kid A』に収録された楽曲です。

規則的なリズムと電子ピアノのコードから始まった曲は、徐々に狂気が膨らんでいき、最後は恍惚を覚えるほどの不穏さで幕を閉じます。

この曲は5作目のアルバム『Amnesiac』にも「Morning Bell/Amnesiac」として別アレンジで収録されました。バンド的にもお気に入りの曲だったのでしょう。

(ちなみに『Amnesiac』版では後半の攻撃性は抑えられ、平穏を求めるように「Release me(自由にさせてくれ)」をリフレインします)

 

「Cut the kids in half」の2つの解釈

この曲の解釈は本国イギリスでも二分されているようです。

1つ目は「家に幽霊が棲み着いている」という解釈、2つ目は「離婚をテーマにした曲」だという解釈です。どちらも面白い解釈なのでご紹介します。

 

1)幽霊解釈

こちらは非常にトムらしいですよね。

家に幽霊が棲み着いて、ひどく混乱している主人公を描いています。

『Ok Computer』でも幻聴や被害妄想に悩まされている主人公が登場していました。ましてや『Kid A』の制作が混乱を極めたことも相まみえて、トムがさらにおかしくなっていたと考えれば、幽霊が見えていてもおかしくありません。

インタビューでもこう答えています。

これはとても、とても攻撃的な歌。本当に攻撃的なんだ。奇妙なことに、この歌はすっと出てきたんだ。それは後にも先にもないことだったんだけどさ...

 

歌詞は、自分の家がだんだんと侵食されていく様を描きます。

朝もおちおち眠れず、絶えず怒鳴り声が聞こえる。自由にしたいと願うのですが、段々と自分の判断も怪しくなってくる。車を停めた場所も定かじゃなく、知らぬ間に衣服が家具と一緒に外に散乱している。自分はだんだんと気が狂っているのを感じる...

ちなみに「Cut the kids in half」は聖書からの引用で、ソロモン王の判決の寓話だと思われます。

(前略:二人の遊女が、子供を取り合っている)

Bは「生きているのが自分の子で、死んだのはAの子」だと反論します。

Aも「死んだのがBの子で、生きているのが自分の子」だと言い張り、言い合いになります。

この時、ソロモンは刀を持ってくるよう命じます。そして、生きている子を二つに分けて半分ずつ二人の遊女に与えるよう命じます。

すると
Aは「生きている子をBに与えて殺さないで欲しい」と願います。
Bは「子を二つに分けて欲しい」と言います。

二人の言葉を聞いて、ソロモンは生きている子をAに与えるよう命じ、Aが子の母親だと結論付けます。

引用:ソロモン王の驚くべき判決 | 聖書早読み

真実を明らかにするために「子供を半分に分けよ」と言うソロモン王の機転。狂気とも思える言葉ですが、そこには知性が感じられます。ただしこれが幽霊の声だとすると・・・。

そして目に見えない何者かが、ずっと自分の周りを歩いている。もはや悪夢です。

 

2)離婚解釈

こちらの解釈はなるほどと思いました。
もっと身近な生活──夫婦の終わりを描いているというのです。

こっちじゃないキャンドルを点けてくれよ
ほっといてくれ

朝眠いのに、奥さんがキャンドルに明かりが灯します。「なぜこっちのキャンドルを点けるんだ。ベッドには両サイドに明かりがあるのに!」というプチ怒りです。

夫婦の仲は相当険悪そうです。

家具は君にやるよ

これって離婚の決まり文句なんですね。
だいたい先に、面倒くさくなった男の人が口にしてしまいそうです。

服は家具と一緒に草むらに散乱してる
まあそれでもいいか

そしてある日、家に帰ったら自分の荷物が庭に捨てられている。

呆れが一周まわって「もうどうでもいいよ」ってなっている主人公。

でも財産はどうでもいいとしても、親権だけは捨てたくないんですよ。

子どもを二つに分けろ

元ネタは先ほどと同じくソロモン王の寓話ですが、今度は主人公が「自分のことしか考えない遊女」の立ち位置になっています。なんだか悲しいですね。

 

おわりに

さて。私としては曲の攻撃性からずっと「幽霊解釈」的なイメージで聴いてたんですよ。でも『Amnesiac』に収録されている穏やかなバージョンがあることで、ずっと混乱してたんですよね。

今回「離婚解釈」というのがあるのを知って、なんだか腑に落ちたような、謎が深まったような、そんな感覚になりました。

※『In Rainbows』の「House of Cards」も不倫の歌だと言われていますし、意外とこういうドロドロした恋愛事情もレディオヘッド的なのかもしれません。

 

みなさんはどちらの解釈が好きですか?

ぜひコメントで教えてください!

 

 

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