深読み、Radiohead通信|歌詞和訳と曲の解釈

Radioheadの歌詞を和訳してます。トムの心境やバンドのエピソードも交えながら「こう聴くとめちゃ深くなるよ」といった独自解釈を添えてます。

【歌詞和訳】Pyramid Song / Radiohead - そこには恐れるものも偽りもなかった

「Pyramid Song(ピラミッド・ソング)」の終末論的な歌詞はヘルマン・ヘッセからの影響。エジプトの絵画からインスピレーションを得て制作した楽曲と言われている。PVは地球温暖化で海に沈んだ地球を表現している。

【歌詞】

I jumped in the river and what did I see?
Black-eyed angels swam with me
A moon full of stars and astral cars
And all the figures I used to see
All my lovers were there with me
All my past and futures
And we all went to heaven in a little row boat
There was nothing to fear and nothing to doubt

I jumped into the river
Black-eyed angels swam with me
A moon full of stars and astral cars
And all the figures I used to see
All my lovers were there with me
All my past and futures
And we all went to heaven in a little row boat
There was nothing to fear and nothing to doubt
There was nothing to fear and nothing to doubt
There was nothing to fear and nothing to doubt

 

【和訳】

河に飛び込み ぼくは何を見た?
ぼくと共に泳ぐ 黒い瞳の天使たち
月と満天の星 輝く数多の車
かつて出会った すべてのもの
ともに歩んだ すべての恋人たち
すべての過去と これからの行く末
ぼくらはみな 小さな舟で天国に向かった
そこには恐れるものも 偽りもなかった

ぼくは 河に飛び込んだ
ぼくと共に泳ぐ 黒い瞳の天使たち
月と満天の星 輝く数多の車
かつて出会った すべてのもの
ともに歩んだ すべての恋人たち
すべての過去と これからの行く末
ぼくらはみな 小さな舟で天国に向かった
そこには恐れるものも 偽りもなかった
そこには恐れるものも 偽りもなかった
そこには恐れるものも 偽りもなかった

 

解説

ピアノとパーカッションによる非可逆リズム、それにストリングスが美しく絡み合う、『Kid A』『Amnesiac』期の中でも最高級の完成度を誇る一曲。

歌詞はエジプトの宗教観をベースにした終末論的な内容となっています。

 

- トム・ヨーク(2001年 インタビューにて)

あの曲は1日ずっと奇妙なエジプトの絵画を見た後で書いたのさ。エジプト人は死んだときに手漕ぎボートを使って天の川を渡っていくんだ。その物語をベースに自分が夢で見た経験が融合されて曲になったんだよ。

“過去と未来のすべてが見える”みたいなことが本当に起こったのさ。自分の目の前ではないにせよ、それよりもずっと奇妙な経験だったね。

引用)『KID A』『AMNESIAC』でRadioheadは長い悪夢を終わらせたのか? | BARKS

 

レディオヘッド、もといトム・ヨークの楽曲にしては、とてもシンプルな歌詞です。「そこには恐れるものも 偽りもなかった」のとおり、この「ピラミッド・ソング」の歌詞にも、どこにも偽りを感じられません。ここには、他の楽曲で見られるような政治への批判も、現代社会の窮屈さも、疎外感もありません。ただ「死に向かう情景」の一つを、淡々と書き連ねたものです。

純粋な芸術作品として楽しめる、数少ない楽曲ですね。『Kid A』からはシングルカットがなかったため「No Surprises」から3年ぶりのシングルとなりました。当時の英国人たちは度肝を抜かれたでしょうね..。

 

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