深読み、Radiohead通信|歌詞和訳と曲の解釈

Radioheadの歌詞を和訳してます。トムの心境やバンドのエピソードも交えながら「こう聴くとめちゃ深くなるよ」といった独自解釈を添えてます。

【歌詞解説】Climbing Up The Walls / Radiohead – たとえあなたがどこに逃げ込もうと、それは必ず追ってくる

「Climbing Up The Walls」は、3作目のアルバム『Ok Compuer』に収録された、ストリングスの不協和音が印象的な楽曲。
トムが精神障害者の事件に触れ、人が突然取り返しのつかない異常をきたす現象にインスパイアされたとのこと。
異常な精神を擬人化し、自分自身や他人に危害を及ぼす可能性についてを歌っている。

和訳

俺はお前の家を 締めるための鍵
お前のおもちゃが 地下に仕舞ってある家の
もしお前が 深く入り込むなら
お前に見えるのは 俺の影だけだ

いつだって 覆い隠すのが一番だ
俺は氷に 閉じ込められたピックだ

泣き叫んだり 警報を鳴らすんじゃない
お前は知ってるはずだ
俺たちとは 死ぬまで付き合うってことを

どこに逃げても
俺はそこにいる
頭蓋を開けたら
俺はそこにいる
気が狂いそうになって...

電気を消しているときが 一番良い
外側の車線を 走る方が良い
十五回殴りつける お前の背後から
十五回殴りつける お前の心を

だから今夜は 子供を安全なところに閉じ込めろ
そして戸棚に隠れて 目を閉じていろ
俺は地元の男の匂いをかいだ
最も孤独な感情を 抱いた男の匂いを

どこに逃げても
俺はそこにいる
頭蓋を開けたら
俺はそこにいる
気が狂いそうになって…

気が狂いそうになって…
気が狂いそうになって…

歌詞

I am the key to the lock in your house
That keeps your toys in the basement.
And if you get too far inside
You'll only see my reflection.

It's always best with the covers up,
I am the pick in the ice.

Do not cry out or hit the alarm
You know we're friends till we die.

And either way you turn
I'll be there,
Open up your skull,
I'll be there
Climbing up the walls.

It's always best when the light is off,
It's always better on the outside,
Fifteen blows to the back of your head,
Fifteen blows to your mind.

So lock the kids up safe tonight,
And shut the eyes in the cupboard.
I've got the smell of a local man
Who's got the loneliest feeling.

And either way you turn
I'll be there,
Open up your skull,
I'll be there
Climbing up the walls.

Climbing up the walls.
Climbing up the walls.

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解説

「Climbing Up The Walls」は直訳すると「壁を登る」という意味ですが、英語の慣用表現として「気が狂いそうになる」「イライラして発狂しそうになる」という意味を持ちます。

「俺」は異常をきたした精神

「俺(I)」は、人の内面に棲む悪魔であり、鬱とした感情の擬人化です。
それは異常をきたした精神であり、理解の及ばない恐怖そのものです。

それは気を抜くと、深淵からこちらを見つめています。
氷が解けると、それは牙を現します。
記憶を呼び起こすと、それはそこにいます。

目を閉じても、匂いでそばにいることがわかります。
たとえあなたがどこに逃げ込もうと、それは必ず追ってきます。

だってそれは、あなた自身の影なのだから

トム・ヨーク
「これは誰もがまともな手当てや対応をしてもらっていないという文脈でのものなんだ。たとえば、あの頃、鬱は誰もが経験するようなものとして語られていて『ああ、それはただの鬱だよ』っていう扱いだったんだよね。でも、今はそれがまた別な事態を引き起こしていくわけで、誰かが心を病んじゃうと、本人や周囲の人たちにも危険を及ぼすこともありうるってことにもなっちゃうんだよね。この曲を今聴くと特にそういうことを考えるよ」

https://rockinon.com/news/detail/162648?page=2

追記

この「Climbing up The Walls」という曲は、Radioheadメンバーからしても恐怖を感じる楽曲とのことです。また、15という数字はトムにとって何かしらの意味を持つのでしょうか。「Just」で襲われるのも15階でしたし、「15 Step」で奈落に堕ちるのも15の階段でした。死刑台の比喩との説もありますが……一体なんでしょうね。単に、彼にとって歌いやすいフレーズなのでしょうか。